人間の安全を最優先にする
人の安全と尊厳、身体の保護は、人間・ロボット共生における最優先の条件です。
参照フレームワーク
人間、ロボット、知能機械の責任ある共生を考えるための、拘束力を持たない参照原則。
このガイドラインは、ロボットが生活や仕事の場で身近になるにつれ重要になる、安全、責任、尊厳、労働、公共・共有空間のあり方を考えるための参照フレームワークです。
目的
ロボット共生ガイドラインは、ロボット権利、ロボットガバナンス、ロボット労働で扱う論点を横断し、日常生活、制度、職場に共通する共生の原則として整理したものです。
さまざまな場面での議論や研究、今後の検討に利用できる、共通の参照枠組みを示すことを目的としています。
本ガイドラインは、研究に基づく拘束力のない参照資料です。法令や公的な技術・安全基準、認証要件ではなく、個別の導入を承認するものでもありません。
基本原則
これらの原則は、人間の安全、ロボットの役割の可視性、追跡可能な責任、公共空間での説明責任、労働者の声、継続的な見直しを重視します。
人の安全と尊厳、身体の保護は、人間・ロボット共生における最優先の条件です。
人々が、ロボットがどのような役割を担い、何が許され、誰がその運用に責任を負うのかを理解できるようにする必要があります。
責任の所在が曖昧になるような形で、ロボットシステムを導入してはなりません。
ロボットシステムが人の移動、仕事、ケア、安全、サービス利用に影響する場合は、人が停止・確認・見直しを行える仕組みを確保する必要があります。
ロボットシステムは、人が適切な時間、休息、裁量を確保し、必要に応じて停止したり支援を求めたりできるように設計・運用されるべきです。人間が機械のペースに全面的に合わせることを前提としてはなりません。
労働者には、ロボットシステムの導入、評価、調整、運用について、実質的に意見を述べられる機会が必要です。
公共空間や共有空間では、技術的安全だけでは十分ではありません。ロボットの役割、誰が監督するのか、懸念や不利益が生じた場合にどのように確認・見直しできるのかを、人々が理解できる必要があります。
ロボットシステムが人に関する情報を取得・記録・分類・送信する場合、その事実と範囲を人々が確認できるようにする必要があります。
子ども、高齢者、患者、障害のある人の周辺でロボットシステムを利用する場合は、その状況に応じて、より高い安全上の配慮、透明性、アクセシビリティ、説明責任を検討する必要があります。
人間・ロボット共生のあり方は、技術、環境、リスク、社会的な期待の変化に応じて継続的に見直す必要があります。
活用場面
人間・ロボット共生は、特定の産業だけに限られる問題ではありません。ロボットが人と空間を共有するさまざまな場面で、共通する考え方が必要になります。
工場、倉庫、オフィス、サービス現場など、ロボットが仕事や管理のあり方を変える環境。
駅、道路、空港、店舗、ホテルなど、ロボットが人の移動や安心感に影響する共有空間。
病院、介護施設、リハビリテーションなど、利用者の依存度が高く、大きな責任を伴うケア環境。
学校、学習施設、研修の場など、ロボットが子どもや学習者と関わる環境。
ロボットが親密で私的な日常空間に入る家庭環境。
飲食店、受付、商業施設など、ロボットが利用者と直接接しながらサービスを担う場所。
研究プログラムとの関係
ガイドラインは、研究所の三つの中核研究プログラムを横断し、それぞれの研究で扱う論点を共生という視点から結びつけています。
同一性、承認、道徳的配慮、法的地位、権利、法的人格、説明責任を区別して考えるための概念を提供します。
ロボット権利の研究を見る責任、監督、公共空間での説明責任、導入、制度設計を検討するための視点を提供します。
ロボットガバナンスの研究を見るタスクの再配分、調整、統制、責任連鎖、価値獲得、リスク配分、そして機械が参加する職場で人の仕事をどう組み立てるかを考えるための概念を提供します。
ロボット労働の研究を見るガイドラインから公共リテラシーへ
ロボット共生ガイドラインが一般原則を示すのに対し、共生リテラシー資料は、その内容を子ども、利用者、施設スタッフなどが日常の場面で理解しやすい形に整理します。
共生リテラシーを見る研究所の取り組み
ガイドラインは、共生リテラシーや関連研究とともに、研究所が整備する参照資料の一部として位置づけられます。